―ノミ―
問題となるのは皮膚炎とノミに寄生している消化管内寄生虫です。皮膚炎はペットだけでなく人にも見られ、足首下や背中がよく噛まれます。寄生虫は瓜実条虫と呼ばれ、ペットや人にも稀に感染しますが、見つけるのには少しコツがいります。
ペストも媒介しますが、現状の日本での発生は確認されていません。
―マダニ―
近年、テレビでも報道されたように、人の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の媒介をしていることがわかっています。
その他、人の感染症ではライム病、ダニ媒介性脳炎、日本紅斑熱、Q熱、バベシア症などがあり、人への感染源として非常に重要視されています。ペットにおいては人と違ってはっきりとした症状を出さないことがありますが、人への媒介や暖かい地域でのバベシア症が懸念されます。
人への感染も考えて、外へ出るワンちゃんや猫ちゃんは予防することを薦めています。
特に当院ではマダニの感染を重要視し、様々な予防薬から検討してその子に合った予防薬を選択しています。
ーフィラリアー
フィラリアとは蚊によって血管の中へ感染する寄生虫です。犬とフェレットは知られていますが、稀に猫や人にも感染します。
予防には様々な薬があり、多くは月一回使用して4~5月から12月くらいまで予防します。
種類としては、液剤(皮膚への滴下)、錠剤、チュアブル(ジャーキーやビスケットタイプ)、粉薬、注射などがあります。
フィラリア予防の飲み薬・滴下薬は「駆除薬」であって、1ヶ月間効き続けてはいません。
フィラリアは感染するとゆっくり成長します。その間に駆除薬を使用すると無害のうちに駆除できるのです。ですので、11月あたりでまだ蚊のいる時期に駆除をやめてしまうと、次の年の春あたりには心臓に寄生したりして非常に重症化します。飲み始めより飲み終わりが大切と言われるのはこのためです。
当院ではその子に合った種類を選択(嗜好、皮膚の状態、飼育環境)します。
また、来院に時間の無い方へは注射薬もあります。この薬は特殊で12ヶ月間、持続的に効能を発揮する薬です。
ー混合ワクチンー
主にウイルス性の感染症を予防するために1年に一回打ちます。また、最初の年だけ2~3回追加注射をします。
予防できる種類は動物病院によって少し差があります。当院では以下の種類を選択しています。
犬:8種混合
ー狂犬病予防接種ー
狂犬病の予防注射です。昔から行政指導で行われてきましたが、日本での発症が無くなり、接種率は低下していて、現在の日本で発症すれば非常に危険な状態にあります。
おとなり中国をはじめアジア圏、南北アメリカ、カナダ、中東、インド、アフリカなど各国では未だに蔓延しており、犬以外の感染も多くあります。発症すれば犬も人も致死率は100%です。
またそれ以外にも、接種していないと犬同士の喧嘩や人を咬んだ時に社会的なトラブルの原因ともなります。
よほどのことがなければ接種しておくべきでしょう。