「脱臼」って聞くとドキッとしますね。
私も自分自身の事だとびっくりしてしまいます。(^^;)
ただこの「膝蓋骨脱臼」に関しては飼い主さんの印象と
実際の病態とにズレが大きいようです。
そしてよく相談されるのですが、
「膝の骨が脱臼しているのでオペをした方が良いか?」です。
先生方の色んな意見もあるでしょうが、当院の意見としては
◯痛がる(歩きをやめてしまうくらい)
◯肥満体型である
◯中~大型犬である
◯運動要求の大きい子である
以上の項目のうち2つ以上当てはまる場合にのみ手術を勧めます。
小型犬であったりスリムで運動あまりしない子は勧めません。
大体の子は手術を必要とせず、生活のレベルも低下せず、
一生を終えます。
小型犬の内、チワワやダックス、マルチーズ、ヨークシャテリアなどは
かなりの確率でこの脱臼を持っています。
反対に、大型犬にこの脱臼を見ることは非常に稀です。
「脱臼」とは言われますが、実際には靭帯に乗っかった骨が
膝からズレる現象です。下の図が分かりやすいですね。
人でも力を抜いた状態でお皿の骨を横にずらすといくらかズレます。
ですので、「普通でもいくらかズレるがズレの大きい子」
と捉えたほうが大雑把ですが、適しています。
原因としては靭帯の接合面の位置が悪かったり、骨の湾曲だったり、
状態によってグレード差があるのですが、
とりあえずそれらの事は考えなくても良いです。
私は太らせないように「注意」はしてもらいますが
気にしすぎないように伝えることが多いです。
そのくらい深刻に捉えすぎている飼い主さんが多く、おそらく
「脱臼」の名前に振り回されているのでしょうね。
ちょっと大げさな名前だと思います。
結局、中大型犬以外は、「脱臼」だからといって
そんなに慌てる必要はない場合が多いってことなんです。
このあたりが誤解というか認識の違いがある病気なんです。
気になるようであればいつでも相談して頂ければ、
もう少し細かくご説明も出来ます。
もし御家庭のワンちゃんが「膝蓋骨脱臼」と言われたことがあるのであれば、
機会があれば、他院で1回診てもらうことも考えておいて下さい。